milano salone
MILANO SALONE
経済的にはかつてないほど苦しい状況にあるイタリアだが、ミラノサローネは今年も十分に活気があふれていた。各ブランドやデザイナーのプレゼンテーションは一時期に比べて地味ではあるものの、全体として創造性が衰えた印象はない。ただし、まったく新しい何かを生み出すより、すでにあるものを充実させ、進歩させるブランドが目立つのは確かだ。ミラノのさまざまな場所で行われた展示を振り返って、現在形のデザインのありかたを捉えてみたい。
ミラノサローネの本会場フィエラで例年通り大きな注目を集めたスイスのVitra。同社のカラーディレクターを務めるヘラ・ヨンゲリウスによって、イームズ夫妻の名作ESUのカラーリングが一新された。
イタリアの木工家具ブランド、Mattiazziのフィエラでの展示。昨年発表されたコンスタンティン・グルチッチの椅子Mediciにスツールとサイドテーブルが加わった。奥にはジャスパー・モリソンの新作も。
アウトドア家具を専門とするKettalのフィエラのスタンド。ジャスパー・モリソンの新作椅子Kettal Villageのほか、パトリシア・ウルキオラらの製品がカラフルに展示された。
ミラノ市内の有名なショップ&ギャラリー、Rossana Olrandiで展示されたGeorg Jensenの新作Tea with Georgeはパーティの最中のようなスタイリング。オランダのショルテン&バーイングスによるデザイン。
同じくRossana Olrandiの展示で、韓国出身のWonmin ParkのHazeシリーズ。彼は多くの著名デザイナーを輩出するオランダのデザインアカデミー・アイントホーフェンを卒業した若手。
ミラノサローネ中に20ヶ所で新作を展示するなど、今年も大人気だった日本のnendo。これはイスラエルの建材メーカーCesare Stoneのためにデザインしたテーブルのインスタレーション、stone garden。
昨年デビューしたイタリアのDisciplineは、サステナビリティを重視してものづくりに取り組むブランド。岩崎一郎の新作シリーズBridgeなどが、半屋外の会場に展示された。
ロナン&エルワン・ブルレックがBMWの新しい電気自動車のイメージを表現したインスタレーション、Quiet Motion。回るベンチには来場者が腰掛けることができる。歴史的建築の中庭が舞台に。
昨年からスタートした新会場MOST。今年はStudio JobがデザインしたLensveltの新作展示が独自の世界観を表現した。家具は鼻の形をしたゴールドのパーツが把手になっている。
ミラノ市街のトルトーナ地区で開催されたMOOOIの展示。写真を背景にしたスタイリングで新旧のアイテムをミックスし、力の入ったプレゼンテーションを行った。これはマルセル・ワンダースによるシャンデリアInk Airbone。
同じくトルトーナのe15のショールームでは、ドイツのシュテファン・ディーツがデザインした新作This、That、Otherが発表された。驚くほどシンプルな構造を採用した木製の椅子。
ミラノ市街北東部では、2010年からVentura Lambrateというイベントの一環として多くの展示が行われる。新世代のデザイナーが多く参加することもあり、Diesel Home Collectionの家具を使った会場内のカフェは幅広い人々で賑わった。
Credit
Photograph:Takumi Ota
Edit:Takahiro Tsuchida