Smokeless Cigarette’s Holder Designe’s Interview Minna
デザインとは、問題を見極め解決に導く一連のプロセス
デザインユニット minna
「デザインとは無縁の世界に生きている人たちにとって、デザイナーは『突飛な形を作る造形家』という認識かもしれない。でもそういう人たちにこそ、すごくデザインが必要だと思うんです」
みんなのために、みんなのことを、みんなでやる。そんなコンセプトのもと、角田氏と長谷川氏の両者が一緒になって始めたデザインユニット『minna』。「自分たちの取り組みをもっと良くしていきたい」というクライアントの思いを可視化し、アウトプットで問題解決をするまでの一連のプロセスのことを彼らは「デザイン」と呼んでいる。無煙たばこについては「たばこが吸いたい時の代用品」と思われがちなところを「非喫煙者と喫煙者のコミュニケーションツール」と捉えるところから彼らのデザインは始まった。
「非喫煙者の人でもインテリアのアクセントにできるように、シンプルな家の形をモチーフにしました。『お家の中では煙がないように』と、煙突に見立てた無煙たばこを引き抜くことで『煙を抜く』行為とかけているんです」(長谷川氏)
たばこの良い面をさらに拡大させる意味を持たせ、無煙たばこにハッピーな要素を付加したというわけだ。クライアントが何を求めているのか、今後どうなっていきたいのか。彼らのクリエイティブ活動の源は、いつもそこにある。
「最近は、商業施設の館内装飾からシーズン企画の立案、デザインまでをトータルで請け負っています。そこで『構造上の問題でお店にたどり着くまでの導線が長く、なかなか人が入ってくれない』という悩みを解消すべく、ワークショップやスタンプラリーを行いました。結果、子どもたちが夢中になって取り組んでくれて、館内がとても賑わったんです」(角田氏)
仕事に取り組む際、意識しているのは「社会的に機能すること」。時に自ら、デザインが届いていない領域へ飛び込み「こういうところこそ、デザインを求めていたんだ」と感じることもあるという。プロジェクトにおいて、一番いい回答は何か。それを探りながら、彼らは常にモノ作りの枠を越えたアイデアを提示し続けている。
【profile】
みんな
2009年設立。2013年、株式会社ミンナとして法人化。角田真祐子と長谷川哲士を中心とする、みんなのためのデザインオフィス。【みんな】のために【みんな】のことを【みんな】でやるをコンセプトに、グラフィックやプロダクトなどのジャンルにとらわれず、領域を越えて幅広くデザインを行う。グッドデザイン賞受賞等、他受賞多数。
Credit
Photograph : Takehiro Goto
Edit : Satoko Nakano