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Smokeless Cigarette’s Holder Designe’s Interview Makoto Tanijiri




モノの名前に捕われず、それが持つ機能や、行為に立ち返ること

建築家 谷尻 誠

 彼がいつも行うのは、モノの持つ機能や、それを使う行為に立ち返ること。すなわち「モノの名前を取る」という作業である。「名前に捕われていると、新しいものは生まれない」というのが谷尻氏の考え方だ。
「無煙たばこについては、その行為のひとつに『喫煙者同士の会話』があると捉えました。喫煙所に行くと、共有意識があって、話しやすいじゃないですか。僕はそれを、すごくいいなと思っていて。でも無煙たばこは広いエリアで吸うことができるから、喫煙所以外でもコミュニケーションが取れるように煙に変わる機能を付けたんです」
 谷尻氏が本体末尾部に付加したのは、バードエコーだ。ツマミをひねると、鳥のさえずり音が出る。無煙たばこから音が鳴ることにより、持ち主は「これ、実はバードエコーなんだよ」と人に話したくなるだろう。「吸うもの」以外のツールを加えることで、無煙たばこの新しい形が産声を上げた瞬間である。
 既成概念に捕われない考え方は、作り手の探究心から生まれる。それが消えない限り、モノとモノ、モノと人の関係は新しく生まれ続けるのだ。

【profile】

たにじり・まこと

建築家、Suppose design office代表。1974年、広島生まれ。2000年にSuppose design office 設立。住宅、商業空間、会場構成、ランドスケープ、プロダクト、インスタレーションなど、仕事の範囲は多岐にわたる。広島・東京の2ヵ所を拠点とし、国内外合わせ現在多数のプロジェクトが進行中。現在、穴吹デザイン専門学校 特任講師、広島女学院大学客員教授。2009 Modern Decoration International Media Prize Annual Commercial Award(上海)/ commendation (London)/2010 THE INTERNATIONAL ARCHITECTURE AWARD(Chicago)/2012 DFA AWARD 2011 特別賞/その他、国内外多数の賞を受賞。



Credit


Photograph : Takehiro Goto
Edit : Satoko Nakano

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Others 2012.07.08

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