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Airside Nippon INTERVIEW Henki Leung





2014年のミラノサローネでサンプリング。海外でも大評判!

今年も大盛況のうちに終わった、ミラノサローネ。東京物産展では、数々のブースを設置して日本のカルチャーを紹介いたしました。その中でも、人気があったのが、甘養亭のブース。
すでに、レポート(「MILANO DESIGN WEEK 2014」を参照)でもご紹介済みですが、
創業寛永3年388年の歴史を持つ甘養亭の海外プロジェクトは、様々なクリエイターの情熱が集まって出来上がったもの。今回は、海外用の落雁デザイン、ボックスデザインを行った、Airside日本のヘンキ・レオン氏にインタビューを行いました。



歴史と伝統のある落雁に、モダンでポップなものを足していく

まず、今回の甘養亭さんとのプロジェクトが始まったきっかけを教えてください。

東京物産展さんとは以前からいろんなプジェクトを一緒にしています。それで、その流れで今回のプロジェクトの話をいただきました。多分東京物産展さんが私たちを選んでくれた理由は、歴史と伝統のある甘養亭さんに、私たちが得意とするモダンでポップなものをプラスしたら、きっと面白いんじゃないか?と思ってくれたからだと思います。

Henki Leung ヘンキ・レオン氏


ヘンキさんは、「落雁」はご存知だったのですか?

本当に知っていたかと言われると、知ってなかったのかもしれませんが、東京に長く住んでますので、見かけることはありました。お茶は体験したことがあったので、想像はついてたんです。でも、本物は今回で知った感じですね。
最初から“ミラノで発表しましょう”っていうのが前提であったので、外国のお客さんにもわかりやすく、見て楽しんでいただけるようなロゴを考えました。思い切ったことをやっても良いって、16代目の当主がおっしゃって下さって。ごちゃごちゃしてなくて、クリーンで、シンプルでわかりやすい感じ、だけど日本のテイストを感じられるようなものっていうことで、ロゴをまずデザインしました。その後トラディショナルとモダンの落雁を作ろうということに。で、モダンの方は落雁の形からデザインしました。

富士山の落雁 桜のモダンな落雁


落雁ですが、何故桜だったのでしょうか。

そうですね。甘養亭がある身延山が桜で有名な場所というのがひとつと、やはり海外の人向けに、日本の桜というのは、とてもイメージが良くてすぐれたアイコンなので。使わないのはもったいないと思いました。モダンバージョンの桜を作る時に、トラディショナルのカタチから、いろんなものを削ぎ落としたかったんです。なるべくシンプルに見せたいと思って。できあがったのは、本当にシンプルだけど、一目で桜だとわかるものになったので、とてもうれしかったです。

Henki Leung ヘンキ・レオン氏


こういった立体的なプロダクトは作って楽しいですか。

確かに、普段はポスターや冊子などのグラフィックデザインが多くて。アニメーションを作る時も、絵コンテを書く時も、2Dの世界でやっていますから、2Dのものがまずこういう形になる、さらにそれが実際の型まで作られるっていうのは、自分以外のいろいろな職人さんの技が結集しているんだなって思えるし、すごく面白いプロジェクトです。デザイン的には、桜は下の方が広がっていると思うんですけど、元々のデザインは下が窄まっていたんです。だけど、実際に木型を作る時には、表面が下にくるんですよね。窪みの中にお砂糖をいれるので、そうすると抜くときに下が窄まっていると抜けないから、木型の上の部分をどうしても大きくしなきゃいけないため、形が変えないといけなくなったり…。私たちにとっての制約もあったし、逆にこのデザインを見て木型の職人さんも、“何じゃこりゃっ”って思ったかもしれないし。きっと色々な所で、こんなことできるんだとか、こんな考えた方もあるんだとか、そういうのがそれぞれの場所で、新しい発見があったんじゃないかと思います。甘養亭さんから伺ったんですけど、甘養亭のおばあちゃまが、この富士山をすごく気に入って下さったらしくて、今までも富士山の落雁はあったんだけれども、だいたい平面らしんです。こういう立体で富士山を作るっていう発想はなかったと。ものすごく喜んで下さったという声がきけたのもうれしかったです。

桜のトラディショナルな落雁 富士山の落雁 桜のモダンな落雁


今後、このプロジェクトの続きはありそうですか?

また、やってみたいですね。例えば、同じ桜がモチーフになったとしても、また違ったアプローチができると思っています。今回でも、トラディショナルの桜とモダンの桜を作りました。同じ桜なのに、厚みや形が変わることで、違って見えます。こう手のひらに持ったときも、違ったものというイメージがはっきり分かるから、楽しい。一個一個みるとそんなに違わないと思うんでが、並べてみるとすごい違いが出る。ただやっぱり難しいですよね。同じ桜ですので(笑)。

Henki Leung ヘンキ・レオン氏







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Others 2012.07.08

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